2016年4月20日水曜日

髪白くなりし遊子と春惜しむ 七田谷まりうす

髪白くなりし遊子と春惜しむ 七田谷まりうす
「俳句四季」5月号。「雲白く遊子悲しむ」と書いた藤村は、遊子を旅人のイメージで使ったのではないでしょうか。七田谷(なだや)さんのこの遊子は、「家を離れて他郷にある人」といった意味かと思います。例えば、故郷から出てきて、故郷には戻らない人と、行く春を惜しんでいる。今度はここ、次はあそこと楽しんだ桜も、もうすっかり葉桜になっています。短い春を故郷にもつ「遊子」とともに、この季節が減ってゆくことに堪えてまいりましょう。

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