自転車の籠にコスモス荷台に子 上田真美
団体職員として働く私は、子育て中の勤務時間短縮制度を利用し、午後4時に仕事を終えて4時半までに自転車で保育所へ子どもを迎えに行っていました。子どもが3歳を迎えたのを機に、フルタイム勤務に復帰。5時15分に職場を出て、20分ほどかかる道のりを急いで自転車を走らせる、賑やかで慌ただしい毎日へと切り替わりました。
また、それまでは前のチャイルドシートに乗せて顔を見ながらペダルをこいでいましたが、成長とともに後ろの荷台へ。前には、購入時に付いていた前かごを付け直しました。
ある秋の夕暮れ、いつものように子どもを後ろに乗せて自宅へと向かっていると、「あ、お花!」と元気な声。見れば、道端にコスモスが可憐に揺れています。子どもを後ろの荷台に乗せるようになって、一番良かったことは、こんな風に同じ景色を見ることができる点です。
両足をしっかり地面につけ、スタンドを立ててロックしてから子どもを降ろし、一緒にコスモスを摘みました。白とピンクと黄色、前かごとカバンのすき間にそっと挿し、再び走り出すと、子どもはかごで揺れるピンクの花を嬉しそうに眺めながら、今日保育所で過ごした出来事を話してくれました。夕日の中、背中に伝わるぬくもり、かごで揺れるコスモス、忙しい日々のふとした瞬間に訪れるこんなひとときが、頬をじんわり撫でてくれます。
明日からは、家族3人で淡路島へ一泊旅行に出かけます。コロナ禍の真っ只中に市役所へ婚姻届を提出し、間もなく子どもを授かったため、これまで駆け抜けるような毎日を送ってきました。明日からの旅は、私たち夫婦にとって遅れてやってきた大切な「新婚旅行」でもあるのです。