三月の海が薄目を開けるとき 渡辺誠一郎
「小熊座」5月号。宮城県在住の作者は、今も海を直視することができないと述べています。三月に入り、十一日が近づきますと、心が張りつめてきます。報道に接するだけでもそうなのですから、東北に住む作者には酷な日々にちがいありません。その頃の海が、「薄目を開ける」とは、どういうイメージでしょう。目を開ける行為は、これまでは未来を見ることを意味していました。しかし、この目は、未来ではなく過去、つまり震災の日へと開かれていくようです。
*大阪教育大学天王寺キャンパスにて。
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