はな子死ぬ死ぬまで生きてはな子死ぬ 柿本多映
「現代俳句」7月号。自選30句の冒頭に置かれたこの句には、「象のはな子昇天」と前書きがあります。「はな子」は、戦後初めて来日したゾウとして親しまれ、昨年5月に国内最高齢の69歳で生涯を閉じました。「死ぬまで生きる」というフレーズは、ユーモラスでおかしみを含んだり、当たり前と受け取られたりしてしまいますが、上五と下五の「はな子死ぬ」という繰り返しの間にはさまれると、なんと深い表現になることでしょう。受賞のコメントに、「生死は私の俳句の原点となっています」とあります。その原点を象徴する一句です。柿本さん、第17回現代俳句大賞の御受賞、おめでとうございます。
なお、同誌に「昼寝」と題して、新作10句を発表しています。お目に止まれば、幸いです。
*岬町小島にて。
0 件のコメント:
コメントを投稿