2017年12月20日水曜日

舌の上に渋茶のこれる卯波かな 桂信子

宇多喜代子『この世佳し —桂信子の百句』(ふらんす堂)より。その作家の傍にいた人の言葉が、何よりその人のことを伝えるということがあります。この一冊は、まさに桂信子という作家を宇多喜代子さんの眼差しから味わうことができます。中でも、掲句の鑑賞に驚きました。〈桂信子は、幼児のころから父上の茶の相手をして大人と同じ茶をそこそこの銘のある茶碗で作法に則って飲んでいた。父上は幼い子どもをあなどることなく、道具や軸、設えなどを惜しみなく見せていた。そんな習慣のお蔭でか、子ども時代から茶になじみ、「いいもの」を直感で探し当てる眼を持っていた。〉
この文章によって、桂信子さんの本質が、ストンと私の中に入ってきました。宇多喜代子さん、御出版おめでとうございます。
*宇多さんの地元である池田市ほそごう学園の子どもたちの作品。

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