谷川すみれ
青芝の子が転びそう転ばない
母の日の見つめつづける火や水や
近づけぬ滝の全長輝きぬ
くちなわを棒に掛けたる山河かな
三好広一郎
春の水目が慣れてきて剥いてみる
桜さく鏡を割れば桜チル
春の子はマジシャンになり砂を出す
毛穴から侵入してくる春霞
中嶋飛鳥
逃げ水や白線右へ流れ出し
春障子その指窓の不定形
清明の塩飴ふくみ歩き出す
触れたきはメレンゲの角(つの)花の果
砂山恵子
花冷ゆる朝一番のラジオから
石鎚のくるくる回る石鹸玉
花吹雪通りませうと運転手
肩巻けば首の白さよ春ショール
橋本惠美子
桜貝コペンハーゲン遠くなる
ふらここの順番を待つうしろ手よ
新入生おしめに名前書き入れて
ぎしぎしをひき全容の現れる
*上六句会場・ホテルアウィーナ大阪にて。
0 件のコメント:
コメントを投稿