2019年5月19日日曜日

香天集5月19日 石井冴、三好広一郎、加地弘子、北川柊斗ほか

香天集5月19日 岡田耕治 選

石井 冴
苜蓿すぐ気の変わるスカートと
唇に触れては熟すさくらんぼ
燕子花ぼくらは個個に日を数え
列から逸れて蟻は人 人は蟻

三好広一郎
アオムシやすべての部位が蟻になる
万緑や洗わぬ帽子てかてかと
目隠しは耳も隠すや無限の夏
フルートのその音が欲し風薫る

加地弘子
何回も影のよぎりて豆の花
雨あがるふらここに音一つなく
青き踏む子はけんけんの足を替え
ぶつかって帰ってきたり春の海

北川柊斗
口笛の直線囀りの曲線
元号のよしあし論ず蝌蚪の群
枡酒にわづかな塩とヒヤシンス
朧月大仏の手が伸びてゐる

神谷曜子
梅雨の空なくす時計の行方にも
蒲公英の絮よ不思議は起こらない
廃村や祭のように桜咲き
馬鈴薯に大粒の雨休みの日

岡田ヨシ子
モルディブに出掛けるという春休
頭から消える黄砂を干しにけり
鶯や声の整う日の近し
ガラケーかスマホにするか夏燕
*南海泉大津駅から鈴木六林男邸へ。

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