香天集9月13日 岡田耕治 選
柴田 亨
ベランダの雀ひたすら蝉喰らう
百日紅去るべき時の来ていたる
薄明のしじまの深さ夏の逝く
明くる日も巷に生きて秋桜
櫻淵陽子
光射す彼方色鳥鳴き交わし
沈黙に耐えられないと秋の蝶
たちまちに掃かれてしまい凌霄花
蜩や夢のひとつを思いやり
砂山恵子
レジ袋底を支へる西瓜かな
ひよいと出てすいと消えたる生身魂
少年が一人で見つめ後の月
生きてやる生きてやるぞと残る虫
岡田ヨシ子
摘む度に頭をたらすモロヘイヤ
供えるに程よき造花菊の花
カメラなく秋の夕日の沈みゆく
八本の鉛筆削りおでん煮る
中辻武男
登校の子らよ日傘の波の中
雨上り日暮れの中に虹の色
今朝の庭蜻蛉にふるいおこされて
一周忌の姉と語るよ秋の色
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