2021年1月24日日曜日

香天集1月24日 玉記玉、谷川すみれ、森谷一成ほか

香天集1月24日 岡田耕治 選

玉記玉
イヤリング外す小鳥の傾ぎして
梟となるまで年輪を磨く
水の瞑想鴨一羽にて破れ
一次元とは如月の波頭

谷川すみれ
花吹雪ことに見とれている人に
待っているとささやき返す桜かな
学校の時計ぽつんと春休
静かに生きていく音は春の雨

森谷一成
明くる日の裸一貫メタセコイア
耳朶の冷え愉しまん初湯殿
凧見えないものに引かれいて
耳袋トランペットを頬張りぬ

加地弘子
寒雀奏でるほどに弾みけり
千両をへたりこむほど貰いけり
初笑もう大丈夫と思うほど
寒紅や私だけのために引く

砂山恵子
銅鐸に振動微か冬北斗
冬眠の蛙静かに息を吐く
鏡餅見せるに丁度よき机
次の方どうぞと言うて毛糸編む

西本君代
煮ることに決めて豆選る年の市
姑は吾が手掴まる実万両
母くれし皮手袋に黒き艶
寒卵初めて受験生となり

古澤かおる
猫好きの家系集まる女正月
室の花咲かせていたり父の部屋
人間の脳の一部は冬眠す
古希からは半額と言う話初

櫻淵陽子(12月)
冬の蝶小さきほどに迷い込み
術もなく生き抜いてゆく冬の蝿
冬天のジャングルジムに登りけり
着ぶくれし子らの並びて縄電車

櫻淵陽子(1月)
淑気満つ風となるもの御空へと
頭下げちょこんと正座お年玉
初神籤結ぶ小さき手を伸ばし
大寒の地に消えてゆく涙雨

永田 文
友だちの賀状大きく牛すわる
青空の光にみちて寒ざくら
子がのぞく大根抜きし穴ぽこぽこ
予定表白いままなり寒明くる

岡田ヨシ子
冬景色の中を来たりて絵手紙展
マフラーをなびかせて行く窓の外
健康は幸せと書き暖房裡
初手水歩けることの幸せと

中辻武男
初日の出富士山の画に沸く望み
孫よりの年賀よ吾子の名を添えて
里よりの蜜柑がほぐす老の夢
天上より楠公眺む水仙花

*泉佐野市内にて。

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