2021年1月10日日曜日

香天集1月10日 三好つや子、柴田享、宮下揺子ほか

香天集1月10日 岡田耕治 選

三好つや子

葉ぼたんに利かん気の渦二つ三つ

文系でも理系でもなく冬木の芽

一月の手帳にしきり波の音

風花はヌードマウスの息づかい


柴田享

腹水と何ごともなく医師が告ぐ

不器用なままの父と子年の酒  

初明かりそのままにすることの増え

初仕事湯よりも水で顔洗う


宮下揺子

小春日のブランコを漕ぎ生翁

寒の月カツカツとゆく鉄の階

レノンの忌爪切る音を響かせて

コロナ禍の十二月八日を忘れる


小島守

一人なら一合がよし年の酒

紙を読む人を見ている初電車

風雪の中を港にたどり着く

死後に届く設定をして雪月夜

✳︎岬町小島にて。


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