香天集1月10日 岡田耕治 選
三好つや子
葉ぼたんに利かん気の渦二つ三つ
文系でも理系でもなく冬木の芽
一月の手帳にしきり波の音
風花はヌードマウスの息づかい
柴田享
腹水と何ごともなく医師が告ぐ
不器用なままの父と子年の酒
初明かりそのままにすることの増え
初仕事湯よりも水で顔洗う
宮下揺子
小春日のブランコを漕ぎ生翁
寒の月カツカツとゆく鉄の階
レノンの忌爪切る音を響かせて
コロナ禍の十二月八日を忘れる
小島守
一人なら一合がよし年の酒
紙を読む人を見ている初電車
風雪の中を港にたどり着く
死後に届く設定をして雪月夜
✳︎岬町小島にて。
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