香天集1月17日 岡田耕治 選
安田中彦
凧揚げてあまたの空を見てゐたり
鏡餅高齢の猫通ります
俳諧は言葉時間は寒椿
炸裂の前かもしれず浮寝鳥
三好広一郎
人間はこんなに曲がる日向ぼこ
陽の当たる壁の端から冬曲がる
ピーラーで剥ぐ人参のわだかまり
花柊残す解体親不孝
木村博昭
深々と渦中の人の冬帽子
去年今年はやぶさⅡ号辺りにも
産声をかたちにしたり福笑
シベリアの未収の遺骨寒北斗
中嶋飛鳥
懐手双子座流星群の降る
数え日の画面の中に隣合う
遠くする眼差にして雪うさぎ
玉椿奥の院まで脚のばす
河野宗子
外套のポケットのまず温かし
カレンダー二月止まり冬日向
息吹きし葛湯しばらく喉の中
短日や老女の話薬とし
藤井 治
臘梅のつぼみ微熱を結びけり
山茶花に声かけ奥の枝を切る
千の手を尽くさんとして初観音
*早朝の大阪教育大学柏原キャンパスにて。
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