2021年1月17日日曜日

香天集1月17日 安田中彦、三好広一郎、木村博昭、中嶋飛鳥ほか

香天集1月17日 岡田耕治 選

安田中彦

凧揚げてあまたの空を見てゐたり

鏡餅高齢の猫通ります

俳諧は言葉時間は寒椿

炸裂の前かもしれず浮寝鳥


三好広一郎

人間はこんなに曲がる日向ぼこ

陽の当たる壁の端から冬曲がる

ピーラーで剥ぐ人参のわだかまり

花柊残す解体親不孝


木村博昭

深々と渦中の人の冬帽子

去年今年はやぶさⅡ号辺りにも

産声をかたちにしたり福笑

シベリアの未収の遺骨寒北斗


中嶋飛鳥

懐手双子座流星群の降る

数え日の画面の中に隣合う

遠くする眼差にして雪うさぎ

玉椿奥の院まで脚のばす


河野宗子

外套のポケットのまず温かし

カレンダー二月止まり冬日向

息吹きし葛湯しばらく喉の中

短日や老女の話薬とし


藤井 治

臘梅のつぼみ微熱を結びけり

山茶花に声かけ奥の枝を切る

千の手を尽くさんとして初観音


*早朝の大阪教育大学柏原キャンパスにて。

0 件のコメント:

コメントを投稿