2016年3月15日火曜日

海流れながれて海のあめんぼう 三橋敏雄

海流れながれて海のあめんぼう 三橋敏雄
『俳句の気持』津高里永子(深夜叢書社)。津高さんは、NHK学園俳句講座で仕事をされていますが、一昨年「香天」の総会にご出席いただいたとき、多くの俳人との出会いが私の財産ですと仰っていました。その財産が、一冊のすてきな本になりました。この句について津高さんは、〈「事実かもしれないが、もの珍しいものを詠めばいいというものではない」と句会の仲間からコテンパンに言われて推敲したんだよと笑って教えてくださいました〉と、三橋敏雄さんの肉声を伝えています。
 藤原ナチュラルヒストリー振興財団のホームページによると、外洋に生息する昆虫はアメンボ科ウミアメンボ属の5種しかいないとのこと。横須賀海兵団に入隊し、戦後も運輸省所属の練習船事務長として日本丸、海王丸などに乗っておられた三橋敏雄さんですから、きっと海あめんぼうをご覧になったと思います。実際に見たものを、見たことのない読者に伝えようと、余計な物を捨てて、海と海のあめんぼうだけを「流れる」という動詞で繋いだシンプルな一句が誕生しました。


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