2016年3月3日木曜日

立春の夜を退院の荷の中に 寺井谷子

立春の夜を退院の荷の中に 寺井谷子
「自鳴鐘」3月号。入院先から「明日退院します」とのお葉書をいただきました。骨折のために入院されておられたので、時間が何よりの薬だったのではないでしょうか。清算をすませたらすぐに退院できるよう、長く居た病室の品物を荷づくりしてしまいました。病室に見えていた物がなくなりますと、入院したばかりの空洞の中に居るようです。そんな淋しさと希望を捉えたのは、立春の夜そのものを荷の中に仕舞ってしまったという、繊細でいて大胆な表現です。

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