2016年3月30日水曜日

桐一葉基地の広さのただならず 大牧 広

桐一葉基地の広さのただならず 大牧 広
「俳句界」4月号。第15回山本健吉賞を受賞された特集の、自選50句を味わいますと、大牧広さんという俳人の存在がより貴重なものとして立ち上がってきます。あっち向いて蝶々かな、こち向いて桜かなと書き散らすことなく、ご自分の伝えたいことは何かをしっかりとお持ちになって書いて行く、そのような俳人の典型として、この度の受賞の意味があるのだと思います。桐の木を一年間を通じて見ていますと、春から夏にかけてつくってくれた大きな木陰が、一葉ずつ地に落ちてやがて無くなってしまいます。「桐一葉」が、全ての喪失の初めに置かれているのです。この国の基地の広さとともに。

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