香天集12月18日 岡田耕治 選
石井 冴
愛の羽根つけてかんばせ重くする
空腹を満たす木の実が沈んでいる
冬菊の花粉を落とす父の上
ざっと数えて逆光の鴨の陣
谷川すみれ
葱坊主子どもはみんな出かけおり
国境を広げていたる黄砂かな
蕗の薹立ち上がりては海を見る
無精髭の兄の手の中蕗の薹
中村静子
いつまでも匂いを辿る秋の蝶
靴先に応えるように木の実落つ
洗顔を許されている菊の花
黒潮のひかりを集め石蕗の花
立花カズ子
晩照や桜紅葉の裏に居て
澄みきって紅葉一枚流れゆく
よく動く傘寿の姉の毛糸針
猫じゃらし風の吹くまま日のままに
竹村 都
柿なます白磁の皿の一点に
真っ直ぐに銀杏黄葉の道続く
蜜柑山と人に優しく迎えらる
蟷螂の玄関に来る力かな
*大阪・天満橋にて
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