2016年12月4日日曜日

香天集12月4日 加地弘子、石井冴、玉記玉ほか

香天集12月4日 岡田耕治 選

加地弘子
新しき家族となりし樹氷かな
山茶花の白にある自負見守りぬ
冬日向いろいろありて隣り合う
林檎剥き話の筋の通り出す

石井冴
六林男の日熟柿と生らばしゃんとせよ
ひとの子がふいに現われ花ユッカ
回転木馬しだいにゆるやかに冬
メリーゴーランド父が見え母が見え

玉記玉
赤い実は夢の原型あかさたな
凍て滝に臍 にんげんしていますか
ハモニカ好き朱シュトーレン好きしぐれ好き
イワンの喧嘩裸木など愛し

中嶋  飛鳥
若冲の猫背を向ける今朝の冬
冬の水光る洛中洛外図
セーターの赤の力や手を拒む
冬鴉程よく人の後歩む

高橋もこ
確かさはどこを突いても海鼠なる
梟を正面に入れ家族写真
出だしから鶴と一緒に声を出す
大綿を繋ぎ止めたる男かな

橋爪隆子
ほこほことほくほくほくと栗の飯
イルカたち飛び交いそうな秋の空
あんパンの中の空洞冬ぬくし
揚りけり今日の売出しのカキフライ

釜田きよ子
ハーレーの隊列皇帝ダリアの前
平成を昭和で数え文化の日
山頭火になって木枯聞いており
有能な色に乾きし唐辛子

久堀博美
戦記読む皸薬生臭し
冬灯一つ明かるき在所かな
枯れながら蔓草のつる太りゆく
山茶花の闇ほんのりとふわふわと

澤本祐子
香天の句碑を訪う石蕗の花
時かけて花の形に蜜柑むく
ころがりし落葉に風の道生れ
冬に入る正倉院展終えてより

浅海紀代子
来し方を地図に辿りて秋の夜
聞き役に酸っぱい蜜柑積み上がる
幸せの端に連なり蜜柑食ぶ
一言を闇に宿して時雨来る

木村 朴
一着のドレスの歴史冬薔薇
神無月宝物館の仏たち
大樹には大樹の落葉嵩をなす
吾に即き峠を越える冬の月

大杉 衛
激流を抱え紅葉の静かなる
月光に重さありけり舟傾ぐ
木枯の過ぎゆく長き廊下かな
鯛焼の裏返るときの全力

浅野千代 
人間が生まれ世界は雪の宿
人間に倦む贅沢や竃猫
枯蔓を見て憂き人を思いけり
良い人を数える単位木の葉雨

安部礼子
冬の蝶淘汰の果ての眼を持ちぬ
冬の日暮れは天心を遠くする
焚火消すとき夢終はる匂ひして
隠されし目線の先の冬の鵙

羽畑貫治
紅葉山程よく火照り始めたる
枯芒ひれ伏して泣くことのあり
野鳩らが仲間に入り日向ぼこ
雪眼鏡ジーンズの脚長くして

村上青女
遠くなる鉄路の響き枯すすき
青鷺の思案している秋の水
うろこ雲空に大河をつくりたる
船に乗りあさぎまだらに会いに行く
*大阪教育大学天王寺キャンパス。昨日は俳句づくりの講座を開きました。

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