2017年4月10日月曜日

「四月」20句 岡田耕治

四月  岡田耕治
  みさき公園六句
各各の向きにてラマの春の夢
春の草急いで参ることのなく
休館のガラスに映り初桜
しんとした光を連れて蝶生まる
掘り抜かれミーアキャットの春の土
威勢よし姫と名のつく春の草

書き付けておくこと増やし四月馬鹿
四月とは耳にはじまる水の音
桜餅食べたる息を澄ましけり
春愁の息をひそめて膝小僧
途中から鳴き出してくるいかのぼり
五千円だけを下ろして春の宵
プラスチックカップに注ぎ花見酒
夜桜の迷子になってしまいけり
柔らかいフードにこもり花の雨
引きこもる我を連れ出し犬ふぐり
揺れるバスに移っていたる春思かな
真っ直ぐに音立てている春の土
夕桜ゆっくり色を取り戻す
カナダから見ていると言う春の闇

*和歌山市加太みやま荘。

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