中村静子
芹を摘むために流れを乱しけり
見る限り影一つなき干潟かな
どれも皆同じ音する種袋
恋の猫四肢を投げ出し深眠る
澤本祐子
さりさりと名残りの雪を鳴らしけり
行間をたっぷりあけて春の星
透明なフラスコにありヒヤシンス
となり合う花押し合って花開く
久堀博美
特急の座席譲られ風光る
春光のたびたび道を聞いており
満開の桜を想い講話聞く
春の昼六林男の声気聞き取れず
宮下揺子
春の猫交番は今無人です
二十分玉葱炒め多佳子の忌
雲梯にぶら下がりたる春隣
和箪笥の中の宇宙や春の宵
小崎ひろ子
先がけて人を集める糸桜
花の冷えお化けが出ると言うお部屋
シニア率高しテレビジョンの前
銀河ほどく星占いに使うため
羽畑貫治
ランドセルかたかた鳴らし花の空
ピン球を瞬時に返し風光る
海苔を干す軍手に残る謎の色
樫落葉素足のままに音を踏む
*大阪句会を行った天王寺キャンパスの桃の花。向こうにあべのハルカス。
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