香天集7月30日 岡田耕治 選
玉記玉
噴水とタイムスリップして土曜
七月の酸素あります入館す
蜥蜴去るやコバルト色のスニーカー
細道を行けど細道蟇
渡邉美保
平静を保つつもりのレモンゼリー
切り口を本音のみゆるトマトかな
遠花火処分する本積み上がり
作り滝前に珈琲芳しき
北川柊斗
夏めくや塔を貫く芯柱
炎昼やロザリオ揺るる阿国像
見上げたる祇園囃子や夢の底
祇園会や軋む車軸よ地軸やも
坂原 梢(7月)
日日草働くために帽子買う
父と子の浮輪のすすむアーケード
フルートにふっくらとして花茗荷
空蝉の数多ころがる記憶かな
古澤かおる
夏館百のグラスを伏せ置いて
生き生きと苔黒ずみて梅雨明ける
夏祭はっぴの裏に龍を連れ
一列のアガパンサスの二号線
坂原 梢(6月)
若竹や空へ伸びゆく風の音
静かなる雨に整い額の花
気儘なる牛蒡を抜いてしまいけり
離れゆくほどに色濃く桐の花
中濱信子
尺取虫人の秤のそれぞれに
跡継ぎのなくなる植田風渡る
泰山木の花少年が立ちどまり
雑巾を絞って七月終わりけり
大杉 衛
軍艦か兜虫かと問われたる
空蝉の扉はギイと開くかな
貨車動く夕焼を載せ少し動く
真鍮の把手に及ぶ草いきれ
越智小泉
滝の水風を伴ない流れおり
どこまでが雲の領域土用波
水打って辛い一日締め括る
風鈴の音色が雨を含みけり
長谷川洋子
つる草に添え木突き刺し夏の昼
草むらの河原撫子風を呼ぶ
向き合って兄を見ている夏料理
真っ先にゴーヤチャンプルできますよ
西嶋豊子
片陰やなじみの顔の二つ三つ
帰省の子何席も頭打っており
風鈴や鳴らずともいい見るだけで
青田風小さな魚泳ぎおり
*大阪市内の談話コーナー。
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