2017年10月4日水曜日

うろこ雲廃船にある水たまり 渡邉美保

うろこ雲廃船にある水たまり  渡邉美保
 香天集選後随想。うろこ雲は、空中の水蒸気が水になることによって目に見えます。一方、廃船には、昨夜から降った雨が水溜りとなって雲を映しています。どちらも水に変わりないのですが、このように取合せることによって、廃船には微かな希望を、うろこ雲をうかべる空には廃船の哀しみを映し合うような構図が現れます。全体に目を漂わせようとする作者のこの視線に、微かな温もりを感じます。
*鳴戸大橋から渦潮。

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