炎天の墓碑まざとあり生きてきし 金子兜太
「現代俳句」11月号・現代俳句協会創立70周年記念特大号。私どもの墓は海の見える丘の上にあり、炎天へ向かって登っていくことになります。たどり着きますと、自分もいつかはここに入って、毎日海を見ているのかと想います。「生きてきし」という措辞には、よくここまで来れたよという感慨と、まだし残していることへの存念が感じられます。兜太さんとは、二十歳代の頃二度お目にかかりましたが、思った以上に小さな声で丁寧に語られる口調と、鋭い眼差しが印象的でした。あの眼差しが、「まざと」対象を捉えています。
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