香天集3月25日 岡田耕治 選
谷川すみれ
高高と獲物をかかげ山の蟻
あめんぼや水がまたたき目を覚ます
登校す眠りにつきし夏鴨に
風鈴や地球こときれゆく気配
辻井こうめ
天辺の椅子に座れば花はこべ
切手選る因州和紙の梅だより
三尺の捕獲網なるおぼろかな
初蝶の伝言板に来て止まる
橋爪隆子
水温む片足立ちを五〇秒
春泥を跳び春泥に着地せり
永き日の行き先一つ増えにけり
芽柳の影を消しゆく水のあり
北川柊斗
一瞬にはしる刃先や冴へ返る
白木地に鮮血染むる西東忌
縫合の黒糸細し余寒なほ
息吐きつつ反らす指先白木蓮
古澤かおる
大いなる壁画の地肌霾れり
百千鳥パン屋を包むさくら色
木の芽和え器用な方の弟の
さくら咲く耳朶の皺深くなり
木村博昭
風光る在校生の新チーム
ノルディックウォーキングして初雲雀
はれの日の天守は白し牡丹の芽
さまざまな言語の過ぎて花馬酔木
*武庫川女子大学にて。
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