香天集4月8日 岡田耕治 選
橋本惠美子
ストーブを囲むアルミの弁当箱
昨日会い明日会う人に賀状書く
仕事始手にアルコールすりこむ
子供らを外へ連れ出す雪女
中村静子
離陸機の音に遅れて風光る
ぶらんこが飛び出す空のがらんどう
沈丁花色よりも香の褪せている
苗札の指紋の形土香る
釜田きよ子
落椿五体投地の如くあり
誰からも好かれ飽きられチューリップ
妖精の帽子にならんスイートピー
石投げて少年春を波立たす
宮下揺子
たおやかな母のようなる寒卵
産土は秩父と言いて兜太逝く
おぼろ月散歩に薄荷飴含み
春の月離婚をしたと告げられる
長谷川洋子
節料理青き器に盛り付けて
数の子の上で踊りし鮪節
褒められてたたき牛蒡の茹で加減
反り返る小さくなりしごまめの背
羽畑貫治
ピン球の軽く弾んで春日向
一斉に桜蕊降る空き校舎
入れ替わり鳥が宿れる花馬酔木
春日傘ポニーテールを隠したる
*大阪教育大学天王寺キャンパスにて。
0 件のコメント:
コメントを投稿