香天集8月12日 岡田耕治 選
三好つや子
油蝉生き急ぐ子の眉間なり
昼寝覚見知らぬ箱の中に吾
顕微鏡に逃げ込んでいる大暑かな
束の間の風の情感さるすべり
加地弘子
水無月の雲一斉に海に出る
落蝉の飛沫飛ばして落ちにけり
蟻地獄覗く手前を父の声
ヨガを行じ新じゃが芋を茹でている
中村静子
姿見の後ろに潜む暑さかな
さし水の泡を加えて金魚玉
ががんぼや片膝立てて爪を切る
潮の香と陽の香を残し麦藁帽
澤本祐子
やりたくもやれぬ事あり鳳仙花
強にして首を振らせて扇風機
野に戻りそうな畑のもろこしよ
猫じゃらし風に従い抗がいて
*大阪教育大学天王寺キャンパスにて。
0 件のコメント:
コメントを投稿