2018年8月3日金曜日

落蝉の哭き尽くしたる白き腹 桑本栄太郎

落蝉の哭き尽くしたる白き腹 桑本栄太郎
 俳句大学。生きて在るものは、必ず死を迎えます。地上に還った蝉は、木の上にいたときよりも激しく泣き、羽を強く震わせています。「哭き尽くしたる」とはなんと深い表現でしょうか。命への熱い眼差しを感じます。一方、「白き腹」には、冷静な眼差しを感じます。いま事切れた命を見つめる、二つの眼差しは、すべての命あるものに向けられているようです。
*大阪教育大学天王寺キャンパスにて。

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