香天集10月21日 岡田耕治 選
三好広一郎
父ひとり塩固まって秋の宵
恐竜の座骨の螺子の錆びて秋
天高し喪主のおしぼりぽんと鳴る
外から見るわたくしの部屋いつも秋
中嶋飛鳥
涼新た白杖に歩を添わせたる
球体のオブジェは無題九月尽く
女郎花道を違えて嗤い合う
草臥れて背中合わせをバッタンコ
橋本惠美子(10月)
流木に堰止められてつくつくし
魂の俯瞰の高さ花野ゆく
天の邪鬼素知らぬ顔の庭花火
止まらずに翳に群れたる蜻蛉かな
橋爪隆子
穴に入る蛇を咥えて飛ぶ鴉
伝えないことの泡立つソーダー水
あいさつや台風のこと加わりて
焼ける音もろとも秋刀魚皿にのる
橋本惠美子(9月)
中継や夏座布団を飛ばしたる
特訓の吹奏楽部夏来たる
噛みついて動かぬジッパーの暑さ
マニキュアの剥げて溶けだす九月かな
永田 文
輪唱の風となりたる花野かな
青空へまずは鋏を松手入れ
行く秋や波が波追う夕の風
原子炉の里より点り曼珠沙華
中辻武男
秋夕焼ダイヤモンドの色に富士
悠然と鯉が鰭振る秋の水
薄紅葉蝶と見違う枝一葉
白鷺や琵琶湖の秋に飛来して
村上青女
酔芙蓉朝の白さの殊によし
久方の蚊とんぼ今日を祝福す
秋の風はらからの穴埋められず
白玉のだんごとなりて鰯雲
三好広一郎
父ひとり塩固まって秋の宵
恐竜の座骨の螺子の錆びて秋
天高し喪主のおしぼりぽんと鳴る
外から見るわたくしの部屋いつも秋
中嶋飛鳥
涼新た白杖に歩を添わせたる
球体のオブジェは無題九月尽く
女郎花道を違えて嗤い合う
草臥れて背中合わせをバッタンコ
橋本惠美子(10月)
流木に堰止められてつくつくし
魂の俯瞰の高さ花野ゆく
天の邪鬼素知らぬ顔の庭花火
止まらずに翳に群れたる蜻蛉かな
橋爪隆子
穴に入る蛇を咥えて飛ぶ鴉
伝えないことの泡立つソーダー水
あいさつや台風のこと加わりて
焼ける音もろとも秋刀魚皿にのる
橋本惠美子(9月)
中継や夏座布団を飛ばしたる
特訓の吹奏楽部夏来たる
噛みついて動かぬジッパーの暑さ
マニキュアの剥げて溶けだす九月かな
永田 文
輪唱の風となりたる花野かな
青空へまずは鋏を松手入れ
行く秋や波が波追う夕の風
原子炉の里より点り曼珠沙華
中辻武男
秋夕焼ダイヤモンドの色に富士
悠然と鯉が鰭振る秋の水
薄紅葉蝶と見違う枝一葉
白鷺や琵琶湖の秋に飛来して
村上青女
酔芙蓉朝の白さの殊によし
久方の蚊とんぼ今日を祝福す
秋の風はらからの穴埋められず
白玉のだんごとなりて鰯雲
*大阪教育大学柏原キャンパスにて。
0 件のコメント:
コメントを投稿