ゆったりとした服 岡田耕治
滑子汁二日酔から戻りくる
秋惜しむゆったりとした服を選り
ポケットに隠しておけり秋の色
全身を秋風にしてよろこびぬ
整えし机上に置かれ柿羊羹
虫の声目にもはっきり見えてくる
吾亦紅あの世から来る耳の声
朝霧やコーヒーだけを口にして
秋の水らせんのようにねじれ来る
上からの目線を避けて菊花展
ビニルシートゆるみて染まる秋入日
金柑や良き質問の生まれたる
蔦かずら学ぶ力をたくわえて
鳥渡る母校の窓に来ておれば
いつまでも木槿でありし校舎かな
ちちろ虫記憶を低くしていたり
駅までの最短距離を虫すだく
冬近しいく度も視る写真にも
*大阪教育大学柏原キャンパスにて。
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