2018年11月4日日曜日

香天集11月4日 玉記玉、石井冴、森谷一成、西本君代ほか

香天集11月4日 岡田耕治 選

玉記 玉
走り書梟にしか判らない
まっさらな道にも記憶冬に入る
ボージョレーヌーボー木曜日の白紙
兎白いは少女白いはハッカ飴

石井 冴
小鳥くる男を選ぶ男たち
日本語のあとは乱れて濁り酒
図書室の図書は落葉の匂いして
深爪を忘れてしまう茨の実

森谷一成
直中の二匹まみれる酔芙蓉
堤から生駒山まで秋漬る
秋天をぬれた鴉の玻璃であり
逃亡の夢の中にも赤まんま

西本君代
蟷螂に指切られおりこれは夢
傷つける自由はありや秋高し
秋高し指を吸う子のうつくしく
色あふれ実を裂いている石榴かな

釜田きよ子
青信号一人占めして秋高し
長靴は農具の一つ牛蒡引く
おそるおそる且つ大胆に熟柿吸う
今朝方の雲の色して通草の実

坂原梢
太刀魚や太平洋の色のまま
坊ちゃんのハイカラ通り秋灯し
月明かり三十分を甲板に
稲の香の零るる風を抱きしめる

中濱信子
彼岸花無人駅また無人駅
無人駅一廻りする帰燕かな
どこからが余生か菊を焚いており
ちぐはぐな返事を許し神の留守

安部礼子
稲妻や出来損ないの目が濡れる
秋の浜捨人形の奇妙な疵
秋冷の河原を渡り癌患者
天の川左手首のつなぎ目に

羽畑貫治
入道雲頭を丸め尾根に立つ
秋日影小雨をくぐり行きにけり
裏木戸を動かなくなるつぐみかな
点滴の芯まで染みて冬日影
*大阪城にて。

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