香天集20句 岡田耕治 選
ラムネ飲むトンチンカンに何もかも 岩橋由理子
春の水目が慣れてきて剥いてみる 三好広一郎
人間を大きく曲がりかたつむり 谷川すみれ
右の手で考えることソーダ水 玉記 玉
花の坂昔の空へ登りゆく 浅海紀代子
燕子花ぼくらは個個に日を数え 石井 冴
探られて春の出口の深くなる 渡邉美保
春の月ともに湯舟に浮きいたる 加地弘子
春の校庭羽ばたきそうな紙片あり 三好つや子
体さえあれば相四つ春疾風 森谷一成
風を待つ春の野げしの白き絮 中嶋紀代子
言葉持つ人の悲しみそれを抱く 柴田 亨
我回るほどに回れと風車 砂山恵子
ふらここや叱られしこと揺らしたる 西本君代
ぶらんこや雲は大きな穴をあけ 橋爪隆子
説法の頃合を見て蝶去りぬ 橋本惠美子
触れたきはメレンゲの角(つの)花の果 中嶋飛鳥
一日を無言で通す栗の花 宮下揺子
ひとひらのあと花びらのとめどなき 澤本祐子
小綬鶏やデスクマットの古葉書 辻井こうめ
「香天」56号 香天集から
*大阪教育大学柏原キャンパスにて。
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