中嶋飛鳥
一手間は私の流儀小鳥来る
薄紅葉けぶたきおとこ近付き来
珍粉漢なれど身に入み言葉の手
ピン十本翅休めたる秋の蝶
三好広一郎
ちいさい秋小さい文字に同意する
包丁の抜けないかぼちゃ顔認証
トンボ来る住民調査するところ
秋魚正面のない写真展
加地弘子
切手貼る紅葉散らさぬように貼る
草に寝て海へ流れる秋の雲
秋天や最後まで息吐ききって
野分くる大きな鍋を出してくる
柴田亨
赤とんぼあの世この世と吹かれおり
夏の花世を終わらせて咲きにけり
天土(あまつち)に悲嘆のありて野分後
何もないふるさとの秋文具店
羽畑貫治
布団干す一本の髪好きになり
衰えぬ食欲のあり冬安吾
冬植えの苗木三本土深く
永く生きわが家自慢の千枚漬
永田 文
残照や柿は宝珠のごとく熟れ
蚯蚓鳴くこんな所で蹴躓き
複眼にまごついており蜂退治
モンブランケーキのほどけゆく時よ
中辻武男
痛ましく道を散らかす早生蜜柑
萩花へ身をゆだねたる紅の蝶
列島の文明荒らす夕野分
冬隣今朝忠告を新たにし
*大阪府柏原市にて。
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