香天集2月16日 岡田耕治 選
玉記 玉
掛布団の縞のびのびと干されたる
モノローグいつしかぶらんこの軌跡
水の輪はみんな太陽鳥の恋
飛石を跨ぐや囀に浮力
三好広一郎
ラーメンの玉子あかるき受験生
日脚伸ぶ砥石が減るか刃が減るか
春光や直角のない木の玩具
暗闇の差し色となり二月堂
砂山恵子
春愁やグレタ・ガルボの細き眉
全身で怒る真似せる鬼やらひ
薄く塗るリップクリーム寒明ける
だれとなく話しかけたくなりて春
加地弘子
暫くは満たされている初鴉
往き復り硝子に映り冬帽子
風を行く大事な人の冬そうび
冬木の芽百を潜りて合掌す
神谷曜子
謎めいた一句に出会う初句会
冬銀河眠りつくまで眼裏に
代替わりして兄流の蔵開き
飛ぶことも言うことも下手冬の蝶
永田 文
寒肥をほどこすことも一人かな
越前の海風に鳴り野水仙
摘みたての春菜が水を光らせる
雪解水あふるる闇を前にして
中辻武男
節分も幾年月ぞ魔を祓う
乗換はマスクで庇う人盛り
疎らなる人よ古城の梅日和
菜の花と色を等しく蝶縋る
岡田ヨシ子
誰もみな終わりを語る日向ぼこ
初地蔵物忘れなく祈りけり
寒見舞百歳になる母のこと
隣人のガス風呂の音春立ちぬ
*大阪教育大学柏原キャンパスにて。
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