三好つや子
おりがみの鳥と鳥籠一・一七忌
梅早しマジックテープで止める服
黙読と素読のはざま二月来る
痛そうな光だメタセコイアの芽
中嶋紀代子
臘梅の透けてゆくなりわれもまた
大地震の記憶のひとつ凍鴉
寒風を受け入れており石の像
妣植えし万両の赤胸の高さ
橋爪隆子
水仙花風の重さを保ちけり
年末のよく役に立つ手足かな
湯豆腐やこわさぬように語り合い
初春のAIの句に挑みおり
朝岡洋子
目ざめ待つ辛夷の冬芽子等帰る
更になお簡略になり年用意
たっぷりのコーヒ淹れて女正月
金の匙ホットミルクの被膜剥ぐ
羽畑貫治
コサージュの震える胸や夕永し
今年こそ両手を揃え春炬燵
都合よい球だけ返す春菜風
人の輪に入りたるゲノム春の鹿
*岬町小島にて。
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