香天集7月12日 岡田耕治 選
三好つや子
はつなつの酸っぱい呪文壜の中
打水やふだんを見せぬ京の店
人形の髪のびている半夏雨
舟虫の群れてボートの影を曳く
橋爪隆子
垂直に水筒を立て夏帽子
もくもくと時を食して草茂る
走り根の広がる力五月闇
太陽と一対一の白日傘
砂山恵子
海と空のあはひの薄し二重虹
緑陰やいはれ解らぬ数へ唄
二人でも寂しき時を釣忍
夏帽子いつも一人でゐる少女
堀川比呂志
一分を六〇音に刻む夏
子猫三つひとつは葉桜の下へ
怖いもの何にもないとネコジャラシ
炎天の自転車ふたつ影ふたつ
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