香天集11月15日 岡田耕治 選
柴田 亨
観音の頬のひび割れ冬温し
太刀魚の死は長くして輝けり
病葉と共に全山紅葉す
星流る水底にわれ長居して
砂山恵子
遺伝子は無限に憑依月冴ゆる
消長の激しき人や膝毛布
客の来て帰る言葉の寒きこと
ひとりでに開きし笑みよ姫椿
嶋田 静(10月)
秋薔薇指に痛みの残りけり
秋灯机上のメモのふえていく
鰯雲大海原を泳ぐこと
みんなの手休まずにあるみかんかな
宮下揺子
温かなサンドイッチよ汀女の忌
爽やかや真っ赤なリュック欲しくなる
百までは生きたいという花八つ手
ひとり来てふたりを誘う木犀花
嶋田 静(9月)
白芙蓉はるかな雲の色写す
夕べには萎れておりぬ精霊花
朝顔の花や幼の高さにも
秋暑し我が身の置き場捜しいて
永田 文
朝の日を集めていたり実紫
夜長にて喧嘩する声羨し
起き掛けの白湯しみじみと冬に入る
日光を求めおりおり冬の蝶
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