香天集4月18日 岡田耕治 選
三好広一郎
朧夜やインクジェットのかすれ声
若葉寒待合室の椅子に穴
世界地図こんなに近く焼野原
剃刀は鏡に魅入り春の海
玉記玉
紙となる森に胡蝶の生まれるや
遺書はまだ書けず蒲公英吹いており
みどりごのねいきはひらがなのさくら
ハーモニカ白鳥引きし水となる
安田中彦
新訳のトルストイなり麦青む
朧なる海馬や母と行き交ひぬ
逃げ水が遠き月日の如くあり
春疾風とは神々の深呼吸
木村博昭
竜天に登る飛行機雲の線
老年のこぼし合いたり花見酒
真っ直ぐの目と目と目と目入学す
蟇出でてパンデミックを懼れざる
永田 文
豆の花ひらりとまとう日差かな
花散らす鳥の声なり落ち着かず
大の字にねころぶ親子花の下
さざ波の水面に速く花吹雪
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