香天集5月9日 岡田耕治 選
三好つや子
中年の匂いがするよ天道虫
私の卵の記憶かいやぐら
樹木医になるはずだった蝸牛
友の忌日ポストに蝶の気配あり
柴田亨
受け入れることに間を置き竹の春
オルゴールあるはずのもの閉じておく
水切りの八分音符のこどもらよ
憲法の記念日の今静かなり
久堀博美
習いたきことを書き出し夏きざす
よく育つ隣の人の夏大根
採りたての胡瓜叩けば泣きにけり
初なつの風と光を空き部屋に
砂山恵子
寝ることを義務としており青葉木菟
泥付きし野菜を保ち木下闇
夏料理こころ緑に戻すため
割りばしを丁寧に割り葛桜
宮下揺子
春の月一人キャンプのメール打つ
拡大鏡めがねに重ね春の夜
たどたどしくもひこばえの自己主張
曲屋の泳げなかった鯉のぼり
櫻淵陽子
マグカップ赤青並べ春の朝
昭和の日祖母の厚焼き玉子とす
母の日の笑顔に笑顔返す母
ひっそりと気の向くままに百合の花
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