2021年6月17日木曜日

耕治俳句鑑賞 桑本栄太郎、十河智、大津留直、仲寒蝉

番号の札を持ち合う端居かな  耕治

桑本 栄太郎
 ワクチン接種の現場でしょうか?或は病院での診察でしょうか?何れにしても、待合の時間は長く感ずるものですね。

十河 智
 この頃思い当たるのはワクチン接種会場、ただどこも消毒や人数制限で、この光景多くなりました。端居、本来の外の椅子という意味でもあり、俳句の季語の本位から外れているとも言える。もう少し深く読んで、先生の情緒が、この状況をも、のんびりと夕景を楽しむ時間としていると見る。これが正解かなと。

大津留 直
「持ち合う」が謎。普通、番号の札は一人びとりに与えられるもので、どんなに親しい人とでも持ち合うことはしない。これは、おそらく、ワクチン接種をして、家に帰って来てから、夕涼みをしているところで、異なる接種会場で接種を済ませた家人と、それぞれの札を持ち合いながら、その様子を話しているのだろう。同じ番号札でも大きさや重さがこんなに違うことに驚きながら。ともかく、お互いに接種を済ませて一安心していることが「端居」という季語から推測される。

仲 寒蝉
 何の番号札だろう。「持ち合う」はAのをBが、BのをAが、ということでなく見せ合うくらいの感じでしょうか。今ならコロナ・ワクチン、そういえばホカホカ弁当でも番号札がありました。「あんた何番だい?」などと見せ合っている端居というのも面白いですね。



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