2021年7月11日日曜日

香天集7月11日 柴田亨、三好つや子、堀川比呂志、牧内登志雄ほか

香天集7月11日 岡田耕治 選

柴田亨
生き残るものへの刃原爆忌
短冊は「たすけてください」七夕竹
夏の扉ためらう人に開かれず
大蟻の何の果てへと並び行く

三好つや子
まいにちが父の日だった水鉄砲
大南瓜家訓のごとく座しており
熱帯夜がさりごそりと静物画
牛すじのカレー好きらし生身魂

堀川比呂志
噴水が全く右往左往して
紫陽花が重たくなりて月曜日
にぎやかなひとりひとりの夾竹桃
しろつめを少しいただき雲に挿す

牧内登志雄
香水の瓶にそれぞれ男の名
木下闇三十路の白き腕かな
幼子の指で突き刺す雲の峰
床払い祝う一突き心太

小島守
梅雨の月ダイヤグラムの乱れたる
金曜の夜を最も痩せて夏
この夏を生き抜くためのネイルにて
白南風の突然にドア開きけり
*大阪教育大学柏原キャンパスにて。

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