香天集12月12日 岡田耕治 選
玉記 玉
水の輪のカノン団栗落ちたから
もっと恋もっと耽美に花枇杷よ
垂直に地を刺す梯子小鳥来る
雪原や不束者である覚悟
柴田 亨
大根炊く今日一日を整えて
生きて死ぬものたちといて冬の虹
家出して遊び惚けて冬銀河
朴落葉土に寄り添う静寂にて
三好つや子
冬の雲ふっと無音になる都会
巻き尺のびゅんと戻るや十二月
体内を巡るララバイ冬至粥
のびしろのここより冬の木の芽なる
宮下揺子
何が生まれる水平線と秋の空
冬麗を歩く歩調の合わずとも
亥の子餅はらからと会う茶の座敷
婆二人寒三日月のあとを追う
楽沙千子
秋思ふとマイナンバーにとどまりぬ
デジタルの速さにずれて文化の日
優劣はつけがたきもの返り花
肩先に不意をつきたり朴落葉
小崎ひろ子
窓も息も白くにごれり雲の波
朝白し待合室に着ぶくれて
誓子の碑海鵜群れ飛ぶ堤防に
この道の曲がってゆけり冬の山
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