香天集12月19日 岡田耕治 選
石井 冴
変り身の一夜帚木紅葉して
はなむけの微熱をそっと枇杷の花
顎鬚が好きで隠れる竜の玉
皇帝ダリア雲青ければ安寧に
三好広一郎
家族葬おやじの分も夜食喰う
人間に火を付ける酒十二月
性格を読まれていたる炭火かな
体内に残るガーゼや日章旗
木村博昭
銀杏散る内親王は国を捨て
おとといもきのうもきょうも落葉掃く
舳先より艫が好きだと懐手
十二月八日の空へ振り返る
神谷曜子
着ぶくれて出口がわからなくなりぬ
神無月水から覗く空の色
飛行機は好かんと五臓寒旱
荒波が海を暮れさす冬至かな
祐
病を問ふ窓の外には雪止まず
黒猫のひよいと跨ぐや冬茜
新巻や出刃包丁の出番来る
粗大ゴミ一つ捨ておく冬支度
古澤かおる
藁仕事座敷童の出てきたる
鯛焼を食べ過ぎている齢にて
着古した寝間着にかえる聖夜かな
ストレスとなりし下着よクリスマス
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