2016年5月5日木曜日

はたとあふ眼のなやみある白日傘 飯田蛇笏

「俳句」5月号。飯田蛇笏についての大きな特集は、読み応えがあります。どうすれば上達するかというハウツウよりも、一人の俳人とじっくり出会うことの方が、上達するかと思える特集です。はたと出会った人の、その眼を見た瞬間に何か重い悩みを抱えていると判ったのです。その人はそれを隠すために白い日傘を選んだのでしょうが、蛇笏さんは一瞬にしてそれを見抜いてしまいました。しかし、「どうかされたのですか?」なんて声をかけることはしなかったでしょう。「その日傘、お似合いですよ」とだけ声をかけたのではないでしょうか。俳人の息遣いが感じられる一句です。

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