2016年7月27日水曜日

白鳥にさはらむとして覚めにけり 松下カロ

白鳥にさはらむとして覚めにけり 松下カロ
『白鳥句集』深夜叢書社。美事な句集が誕生しました。一つの章が18句ずつ11章ありますので、合計198句全てが白鳥を詠んだ、ほぼ書き下ろしの句集です。同じ18句ずつのリズムが、句集を読み進めるペースとなって、内容の多様さを象っていきます。その冒頭に置かれたこの句、カロさんの身辺にはさまざまな姿の白鳥が棲んでいたのでしょう。その一つの温もりに触れることで一日を始めようと目覚めました。たった一つ「白鳥」という言葉で、こんなにも豊かで静かな世界を表現できる、これは試行ではなく、成果です。

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