2016年8月3日水曜日

見下しても見下しても蟻進みゆく 大牧 広

見下しても見下しても蟻進みゆく 大牧 広
「俳句界」8月号。50句の特別作品に引き込まれ、三度読み返しました。どの句にしようと迷った末、50句の初めに置かれた導入の句を選びました。「見下す」という動詞を俳句で使うことができるんだということに先ず驚きます。大牧さんが蟻を見下ろしているその姿を、「見下しても見下しても」と繰り返すことによって、餌を探し、運んでいく蟻の懸命さが立ち現れます。次にその懸命さを見下す自分自身の残酷さ、無力さが感じとれます。最後に、上から見ていたはずの大牧さんが、蟻と同化してしまうような感覚にとらわれます。なんという技術でしょう。
※夏休みに入った大阪教育大附属天王寺高等学校のグランドです。

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