2016年9月23日金曜日

父母よりも老いてふくみし茸汁 大牧 広

父母よりも老いてふくみし茸汁 大牧 広
「俳句四季」10月号。大牧さんは今年85歳、父母の年齢を超えられたのでしょう。時々父母の年齢を超すという句を見かけますが、しみじみとした句が多いと感じます。中でもこの句は出色だと思います。「父母よりも老いて」で止めていないからです。「老いてふくむ」と、動詞を連続させて、なお生きて描いて行きたいことがある、どこまでこの命が続くかもしれないけれど、、。そのような、表現者としての心の高まりを「茸汁」という絶妙の汁で鎮めようとしているかのようです。あれも言いたい、これも書きたいという高まりを抑えながら、どうしても書かねばならないことを書く、そのための心の余裕を茸汁がくれるような気がします。
*京都・東本願寺で見つけた「今、いのちがあなたを生きている」という言葉。

0 件のコメント:

コメントを投稿