虎落笛 岡田耕治
好きなだけ音楽をかけ冬の空
潤目鰯微かに濡れて焼き上がる
生涯の句集が届き枇杷の花
桜鍋今日のことにて今日終わり
熱燗をはさみし爪の染まりけり
坐すことを喜びとして冬の草
混む列車止まったままの冬灯
辞書買いに出て白菜を買いにけり
出汁注いで静かになりしちゃんこ鍋
夜話のよく冷えているハイボール
もう少し飲みたいと言う虎落笛
ほぐしゆく釜揚饂飩生卵
セーターの中に笑顔を作りけり
半分は冷ましていたる太鼓焼
かなしみの形を保つ布団かな
*難波の行きつけの店にて。
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