深夜稿また紅梅にはげまされ 鈴木六林男
六林男師は、夕食後九時から十時頃に書斎に入り、明け方の四時から五時頃までそこで過ごされていました。「深夜稿」とは、俳句についての評論でしょうか、預かっている句集の序文でしょうか。六林男選の「花曜集」では、投句の中に判らない字や言葉があると徹底的に調べておられました。自分が執筆する時間に図書館が開いていないからと、大漢和辞典、大国語辞典など、何巻もの大きな辞書や全集を揃えておられました。
「また紅梅にはげまされ」とは、そんな営みを続ける内に、時々外気に触れ、緑豊かな庭の紅梅に眼を休められたのだと思います。掲出句は、全句集の中でも晩年の作ですが、句集『櫻島』(一九七五年刊)には、
夕月やわが紅梅のありどころ 六林男
という句があります。「わが紅梅」と呼ぶほどに、六林男師は紅梅を愛していたのです。
上本町シェラトン都ホテルのクリスマスツリー。
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