2016年12月25日日曜日

香天集12月25日 橋爪隆子、加地弘子、坂原梢ほか

香天集12月25日 岡田耕治 選

橋爪隆子
カレンダーあと一枚の寒さかな
日向ぼこ乗り換え駅のベンチにて
吾が猫背輪郭にして冬籠
自らの影に温もり冬帽子
加地弘子
年渡るちりぢりのものかき集め
冬の月黙っていても見ているよ
口も手も出さずに正す冬の月
水仙花確りと咲く兆しにて
坂原 梢
合掌の姿を写し白障子
日脚伸ぶバスの一駅歩きけり
湯豆腐やあれこれそれが先に出て
着脹れてどこかに切符ひそみたる
北川柊斗
数式のほどけてきたり冬銀河
海底の岩戸を塞ぐ海鼠かな
熱燗やイタリア人が暖簾割り
極月や深々とゆく京の路地
古澤かおる
井戸水に鎌で根を切り葱の白
一口の白湯に始まり大晦日
農夫来て草の輝く冬田かな
安心の父の逝く道藪柑子
木村 朴
ストーブの満ちゆく赤を見つめおり
おだやかに神域をゆく冬の川
短日や外宮内宮つなぎたる
リアス式海岸の謎年つまる
永田 文
石仏を黄金に染め冬落暉
冬日差す木の根あまねく仏像に
猫さがすビラひらひらと十二月
猫うごくかすかな風よ昼炬燵
中辻武男
握る指開けば消えて雪蛍
年賀書く逝きたる人を惜しみつつ
冬蝶と植木をいじる日和かな
登校の友を誘いて息白し
西嶋豊子
笹百合や呉れたる人の今は亡く
秋日和歩ける事のしあわせよ
木枯や老猫を抱く一人の日

幼子の手にあり余る柿落葉
*昨日上六句会が行われたホテルアウィーナ大阪のエントランス。

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