香りなし色もあやなし風花は 藤川游子
『藤川游子句文集 句集「游庵」 文集「敬天」』朔出版。句集と文集が一つの箱に入った、素敵な装丁の句文集です。『古今和歌集』の凡河内躬恒に「春の夜の闇は文無し梅の花色こそ見えね香やは隠るる」という歌があります。あやなしは文無しで、筋道が立たない、はっきりしないというほどの意味と取ります。古今集の梅は、色は見えないけれども、香は隠せないと。『游庵』の風花は、香りもなければ、色もはっきりしない、と。この素っ気なさを愉しむように、そんな風花を愛おしむように、一巻は編まれているように感じます。
*大阪教育大柏原キャンパスのメタセコイア。まだ枯れていません。
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