香天集1月8日 岡田耕治 選
玉記玉
月光をこぼれ一滴の梟
深爪の焚火を離れられぬまま
寒鴉おのずとそこは百ワット
ポインセチアよ最後にも最後
中嶋飛鳥
一文字に遊びのありて冬あたたか
枯木星風の形の枝にあり
冬木の芽第二章へと立ち戻り
去年今年紙鶴の千羽搏きぬ
久堀博美
ひたすらに考えている冬の蠅
着膨れて空の青さを愛しめり
医に頼り医に抗いて燗熱し
めんどりの声低くある初明り
中村静子
列車いま枯野一気につき離す
呼び合いて子らの白息ぶつかリぬ
夕暮の軽さを孕み返り花
潮騒の傷みはじめし冬椿
釜田きよ子
眉描いて師走の顔を造りけり
ロボットの造る溶けない雪だるま
冬の雨ひとり一人のアベマリア
冬の薔薇覚悟を決めた色であり
澤本祐子
暮れてゆく裸木の先の先の瘤
ポインセチア飾り出窓の点りけり
煮凝りの底の目玉が視ておりぬ
一年の短さを背に柚子湯かな
宮下揺子
回廊の音を愉しむ黄落期
手のひらに手のひら合わす花八つ手
自画像のゴッホとありて六林男の忌
湖水面鎮まるを待つレノンの忌
羽畑貫治
杖立てて支援二級の年始まる
白髪染め義歯を揃えて年迎う
公職の記録塗り替え初詣
凍えたる雫をほぐすてのひらよ
岡田ヨシ子
日向ぼこショッピングには行かぬよう
日記買う十年ものを五年とし
学び合う友に会いたし年賀状
雲流れ波が岩巻く初景色
*上本町六丁目(上六)の寒椿。
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