2017年2月11日土曜日

「大きな蛇」18句 岡田耕治

大きな蛇 岡田耕治

黄梅や身の内側をあぶりたる
上体を反らしてしまう春の雲
鶯の初音との距離確かにす
ニスを塗る春寒の窓開け放ち
恋猫や光る瓦を渡り来る
誰にでもなれる人あり春の夜
春雨や隣の声を近くして
唇を尖らせている春の夢
白梅を行ったり来たりしておりぬ
音立てず大きな蛇が穴を出る
真ん中へすべり込みたる春の泥
春眠の言葉をふっと失いし
春雪が鳴らしていたるフードかな
春雪のはじめに窓を開きけり
白魚の微かにぬくき店の情
老梅のたわみやすきを愛しめり
牡丹雪駅の中にて飲みはじむ
髪形を短くしたる春愁

*オーストラリア先住民によるアボリジナル・アート。

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